健康診断や病院で、「HbA1cが高いですね」「糖尿病の気(け)があります」と言われて、不安になっていませんか? 聞き慣れない言葉に驚いてしまうかもしれませんが、まずは落ち着いて、自分の体の状態を知ることから始めましょう。
今回は、糖尿病の診断や治療において非常に重要な指標である「HbA1c」について、分かりやすくご説明します。
そもそも「HbA1c」ってなに?
HbA1cとは、「過去1~2か月間の血糖値の平均的な状態」を反映する検査です。
血液中を流れる赤血球には「ヘモグロビン」という、酸素を運ぶ成分があります。血液中にブドウ糖(血糖)が多い状態が続くと、このヘモグロビンに糖がベタベタと結合してしまいます。これが「HbA1c」です。
赤血球の寿命はおよそ4ヶ月。そのため、HbA1cの値を調べることで、「最近1~2か月間、あなたの血液がどのくらい砂糖漬けの状態(高血糖)だったか」の平均が分かります。
「血糖値」と「HbA1c」の違い
- 血糖値: 「検査したその瞬間」の血液中の糖の量
- HbA1c: 「過去1〜2ヶ月間」の平均的な血糖の状態
例えば、前日の食事内容、食事からの時間、運動したかどうかによって、血糖値は1日のうちでも大きく変動します。健診の前だけ食事を抜いても、血糖値は隠せますが、HbA1c(平均値)はごまかせません。 だからこそ、普段の正確なコントロール状態を知るために、HbA1cが重宝されるのです。
HbA1cの基準値(目安)
一般的な目安は以下の通りです。
- 5.5%以下: 正常範囲
- 5.6~6.4%: 糖尿病予備群の可能性(注意が必要)
- 6.5%以上: 糖尿病が強く疑われる
⚠️ 注意点 HbA1cの数値だけで「あなたは糖尿病です」と即断するわけではありません。当日の血糖値や症状、これまでの経過などを合わせて、総合的に医師が判断します。
糖尿病と診断されたら、目標値はいくつ?
糖尿病治療中の方の一般的な目標は、【HbA1c 7.0%未満】です(合併症を予防するための基準です)。
ただし、この目標値は一律ではありません。
- ご年齢
- 他に持病があるか
- お薬の種類(低血糖のリスク)
などを考慮して、一人ひとり異なります。特にご高齢の方などの場合は、少し高めの目標(7.5%や8.0%未満など)を安全のために設定することもあります。当院では、無理のないオーダーメイドの目標を一緒に考えていきます。
「高い」と言われたら、どうすればいい?
健康診断で「HbA1cが高い」と指摘されても、すぐに過度な心配をする必要はありません。 しかし、放置することだけは避けてください。
まだ初期であれば、少しの食事の見直しや運動の工夫で、お薬を使わずに正常値に戻せるケースもたくさんあります。逆に、放置してしまうと気づかないうちに血管に負担がかかり、将来の合併症につながるリスクがあります。
当院からのメッセージ
「健診で再検査になったけれど、どこに行けばいいか分からない」 「まだ症状はないけれど、一度詳しく調べてみたい」
そんな時は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。 早めに気づき、正しく対応を始めることが、5年後、10年後の元気な毎日を守る一番の近道です。