「糖尿病の薬を飲み始めたら、一生やめられないのでしょうか?」
診察室でもよく聞かれる質問です。
結論からいうと、糖尿病の薬が一生必要とは限りません。
体重が減ったり、食事や運動などの生活習慣が改善したりすることで血糖値が良くなり、薬を減らしたり、中止できたりする方もいます。
一方で、血糖値が良くなったからといって、自己判断で薬をやめてしまうのはおすすめできません。
血糖値が良くなったのは「薬が効いているから」かもしれません
糖尿病の治療を始めてHbA1cが下がると、
「もう糖尿病は治ったから、薬をやめてもいいのでは?」
と思われることがあります。
しかし、良好な血糖値を保てている理由が、現在飲んでいる薬にある場合も少なくありません。
薬を中止すると、再び血糖値が上昇することがあります。
そのため、薬を減らしたり中止したりする場合には、HbA1cや血糖値、体重などを確認しながら慎重に判断します。
薬を減らせるのはどんな人?
特に、糖尿病になってから比較的早い段階で、肥満や食生活、運動不足などが血糖値上昇に大きく関係している方では、生活習慣の改善によって血糖値が大きく改善することがあります。
たとえば、
- 体重が減った
- 食事内容が改善した
- 運動する習慣がついた
- HbA1cが長期間良好に保たれている
といった場合には、薬の量や種類を減らせることがあります。
人によっては、糖尿病の薬を使用しなくても良好な血糖値を維持できる「寛解(かんかい)」という状態になることもあります。
ただし、寛解は「完全に治って、もう糖尿病になることはない」という意味ではありません。体重増加や生活習慣の変化などによって、再び血糖値が上昇することがあります。
一方で、薬を続けたほうがよい場合もあります
糖尿病は、同じ「2型糖尿病」でも患者さんによって状態が大きく異なります。
糖尿病になってからの期間が長く、インスリンを分泌する力が低下している方では、生活習慣を改善しても薬が必要になることがあります。
また、現在では糖尿病の薬の中に、単に血糖値を下げるだけではなく、心臓や腎臓を守る効果が期待できる薬もあります。
そのためHbA1cだけを見て、
「数値が良いから薬を全部やめよう」
と判断するとは限りません。
年齢、体重、糖尿病になってからの期間、腎機能、心臓病の有無、低血糖のリスクなどを考えて、一人ひとりに合った治療を考えることが大切です。
「薬をやめたい」という希望もご相談ください
糖尿病治療の目的は、薬を飲むことそのものではありません。
良好な血糖値を保ち、糖尿病による合併症を予防し、健康な生活を長く続けることが本当の目的です。
そのため、必要以上に薬を増やす必要はありませんし、状態が改善すれば減薬できる可能性もあります。
「できれば薬を減らしたい」「この薬はいつまで飲むの?」「今の治療を続ける必要があるの?」
そんな疑問があれば、遠慮なくご相談ください。
血糖値やHbA1cだけではなく、体重や生活習慣、インスリンを分泌する力、心臓や腎臓の状態なども確認しながら、その方に合った糖尿病治療を一緒に考えていきます。