「病院では血圧が正常だったから大丈夫。」
このように思われる方は少なくありません。しかし、本当に大切なのは診察室での1回の血圧ではなく、毎日の生活の中で測る家庭血圧です。
血圧は時間帯や緊張、睡眠、ストレスなどによって大きく変動します。特に朝は血圧が上がりやすく、この時間帯の高血圧は脳卒中や心筋梗塞のリスクと深く関係しています。また、病院では正常でも自宅では高い「仮面高血圧」の方も少なくありません。
では、高血圧を放置すると何が起こるのでしょうか。
高い血圧は、全身の血管に強い負担をかけ続けます。その結果、脳卒中や心筋梗塞だけでなく、腎臓も少しずつ傷ついていきます。
実際に、Am J Kidney Dis. 2000;36:646-661で報告された研究では、血圧が高い人ほど腎機能(eGFR)が毎年速いペースで低下することが示されています。つまり、血圧を適切に管理することは、将来の透析を予防することにもつながるのです。
腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。かなり悪くなるまで自覚症状がなく、一度低下した腎機能を完全に元に戻すことはできません。そのため、「悪くなってから治療する」のではなく、「悪くならないように守る」ことが何より重要です。
当院では、診察室での血圧だけでなく、ご自宅で測定した家庭血圧を重視しています。家庭血圧を参考にしながら、一人ひとりに合った治療を行い、必要に応じて腎機能や尿検査、頸動脈エコーなども組み合わせて、将来の脳・心臓・腎臓の病気を予防するお手伝いをしています。
毎日の血圧測定は、未来の自分への健康投資です。
ぜひ朝と夜、ご家庭で血圧を測る習慣を始めてみましょう。